如来像には種類がある!それぞれどのような役割を持っているのか解説
はるか昔から存在しているのが仏像です。とてもありがたい存在なのは理解していますが、日本人でもその全容に詳しい方はあまりみかけません。しかし仏像の佇まいや美しさに気品を感じる方も多いはずです。仏教の知識がまったくない方も安心してください。一緒に仏像の魅力に触れてみませんか?今回は仏像の種類とそれぞれの役割について解説します。
釈迦如来(しゃかにょらい)
今から2500年前にインドで釈迦族の王子としてゴータマ・シッダールタが誕生しました。実在した人物であり、王子という立場を捨てたのちに悟りを開き、仏教の開祖ブッダとなります。釈迦が誕生した際の言葉で「天上天下唯我独尊」はとても有名ですよね。
釈迦が悟りを開くきっかけとなったのは、人には老いや病、死が存在すると知ったからです。釈迦は妻子ある身でしたが色々あり王子としての立場を捨てて出家します。釈迦は、断食や呼吸を制限するなどの修行を6年経験しました。しかし苦行の成果が出ずに心身が衰弱した釈迦が出会ったのが村娘のスジャータでした。スジャータの歌声を聞いた釈迦は苦行が間違っていたことに気がつきます。そして35歳のときに菩提樹の元で悟りをひらきました。
現代では想像がつかないような壮大なお話ですよね。釈迦が入滅して500年が経過してから仏像は作られるようになりました。釈迦如来は仏像のなかでは最高位であり、人々をあらゆる悩みから救うとされています。仏像の特徴として質素な布を巻いた姿をしており、装飾品もなく、苦行をとおして悟りを得た釈迦の姿を模しています。
ほかにも釈迦が入滅した際の寝転がっている涅槃像、苦行像、説法像などがあり、もしかしたらみたことがあるかもしれません。また如来とは真理を得て悟りをひらいた者を指しさしており、阿弥陀如来や薬師如来なども悟りをひらいたものとされます。
阿弥陀如来(あみだにょらい)
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)という言葉を聞いたことはあるでしょうか?意味は「あぁ、阿弥陀仏さん、どうか極楽浄土へお願いします」となります。西方極楽浄土の教主で、念仏を唱えると極楽浄土に行けるという信仰を掲げて苦しみや迷いから人々を救っていました。ちなみに如来はそれぞれ浄土とよばれる国を持っています。仏像には印相と呼ばれる指の形があり、指の形で悟りや意思を示しています。
そして阿弥陀如来は九品印といい、9種類の印相があり、どの印相も指で輪っかを作っているという特徴があります。そのため指で輪っかを作っていたら阿弥陀如来だと見分けて大丈夫です。
なぜ9つの印相なのか?答えは生前の信仰心や行いによって極楽への迎え方が9種類あるからとされています。また背中に光背と呼ばれる特徴があります。船の形をした光背や線を円形状に並べた形を持つ像が多いです。阿弥陀如来も三尊形式で祀られており、脇侍として勢至菩薩と観音菩薩がいます。
薬師如来(やくしにょらい)
薬師如来は東方瑠璃光浄土の教主で病気から人々を守るとされており、別名医王とも呼ばれています。仏像の特徴は、左手に人々の病気を治せる薬の入った薬壺を持ち、右手は施無畏と呼ばれる印相を結んでいます。ほかの仏像は印相や脇侍を確認しないと分かりづらいものが多いです。しかし薬師如来のように薬壺があると簡単に見分けやすいです。阿弥陀如来同様、三尊形式で祀られており、脇侍には月光菩薩と日光菩薩がいます。
盧遮那仏(るしゃなぶつ)
奈良の東大寺に祀られている盧舎那仏如来は修学旅行で行ったという方も多いでしょう。法身仏の存在として仏教の教えを神格化した存在です。印相は右手が施無畏、左手が与願印です。宇宙から太陽のように照らし続けているとされています。釈迦は真理をひらきましたが、盧舎那仏は真理そのものです。釈迦真理に導いた仏であり、如来の上の存在です。ほかの如来像と見た目が似ていますが、存在の大きさを示すために、奈良の大仏は大きく作られました。また釈迦が存在しなければ人々に仏教の教えは伝わらなかったとされています。
大日如来(だいにちにょらい)
宇宙を統一する、宇宙の真理そのものとされています。すべての生命は大日如来から生まれたとされており、ほかの仏は大日如来の化身となります。密教の中では最高位の存在です。イヤリングなどの装飾品が多い理由としては、出家者の姿ではなく王族の姿を模しているからです。冠やブレスレットなど煌びやかで、仏の中でも見分けやすいのが特徴的です。また菩薩も煌びやかな見た目のため、混同しがちですが、菩薩は印相がないため、見た目で迷ってしまったら指に注目してください。
まとめ
今回は仏像の種類と役割を解説しました。すべてを知るにはこの記事だけでは語り尽くせないほど仏像の魅力はつきません。仏教の開祖釈迦を紐解く話はまだまだたくさん存在します。2500年というとてつもない時間を経て現代の仏教となりますが、仏のご利益を得るために参拝する方はあとを絶ちません。美術品としても存在価値が高まり、芸術品としての地位も確立しています。仏像の知識を少しずつ増やして、わたしたち一人ひとりが後世に魅力を伝えていけるとよいですね。