仏像を買取に出す前に【魂抜き】はしないとだめ?
コレクションとして仏像を集めている方は大勢いらっしゃることでしょう。仏像は世界中で人気があるアイテムであり、美術品としても名高い品がたくさんあります。その中で保管に困ってしまった品がある場合は骨董品店に依頼をすれば買取ってもらうことが可能です。ところが仏像の場合は「魂」が入っているとされるので、魂抜きが必要なのかここで詳しく見ていきましょう。
そもそも仏像の魂抜きとは何のこと?
若い方や仏教に精通されていない場合は、仏像に対して何ら畏怖の念を持たれることはないでしょう。今では全国各地の寺院では必ず仏像があり、中には土産物として販売されているものさえあるほどです。しかし、本来は非常に宗教色の濃いもので、仏教界では仏様の依り代(よりしろ)と言われています。
つまり、この世に仏様を呼ぶための道具なので、完成した際には必ず魂を入れるわけです。現在でも寺院で新しい仏像を設けた際は必ず開眼式という魂を入れる儀式がおこなわれています。魂抜きとはその逆の儀式のこと指し、像に宿っている仏様に天界へと帰っていただくことです。たとえ小さな像であっても仏師や僧侶によって魂を入れられているので、手放す際は必ず魂抜きを行うようにしましょう。
買取りサービスをおこなう骨董品店では、この魂抜きをサービスとして実施するところもあります。買取りを依頼したいお店の公式ホームページに記載されていますが、見当たらない場合は問い合わせをしてみましょう。
買取りはリサイクルショップでも対応されていますが、この場合は魂抜きがおこなわれない場合がほとんどです。買取り査定に行く前に必ず適切な寺院等で仏様の魂を抜いてから持ち込むようにして、手厚い対応をするのが望ましいです。仏様に敬意を表した行動をすることは、宗教を問わず大切な事柄といえます。
どこで仏様の魂を抜いてもらえるの?必要な費用は?
仏像の魂を抜く儀式は、浄土真宗・真宗・真言宗等の寺院で実施されています。この時、どの寺院に依頼をするのかは各家庭が属している宗教に従うのが望ましいですが、昨今は無宗教のご家庭も多くなってきています。その際は近隣の寺院を頼れば、適切に僧侶が魂を抜いてくださいます。
日本には人形供養をおこなっている寺もあり、京都や奈良・神奈川など全国に計120か所あります。ここでも魂抜きはなされているので、観光で訪れた際に持参するのもひとつの手と言えます。
魂抜きの概要としては、各宗派の読経がなされて仏様を像の形から引き離します。一般的に炎を焚いて、その煙に仏様を乗せて天界へとお運びするといわれている儀式です。儀式の際は所有者も手を合わせて魂が天界へと帰るのを見届けましょう。
魂抜きに必要な費用は寺院によって異なりますが、東京都・神奈川県の寺院の相場は約6,000円~8,000円となっています。中には魂を抜いたあとの仏像を引き取ってくださるところもあり、買取りを希望されない場合はそのまま預けるということも可能です。
骨董品店等で買取りを希望される場合は、そのまま店に持ち込むか出張買取りという方法があります。骨董品店の場合は魂を抜いていると伝えれば、買取り金額を約5%から10%上乗せしてくれるので、必ずその旨を査定時に伝えるようにしましょう。
魂を抜かなくてもいいものはあるの?
仏像と一言にいっても多種多様なものがあります。最近では古美術品が若い方に人気があり、ポリ塩化ビニール製のフィギュアでも販売されているほどです。奈良や京都に行けばカプセルトイでも手のひらサイズのものがありますが、これらの玩具と呼ばれるものであれば魂抜きをする必要はありません。平たく言えば、魂入れである開眼式もなされていないので仏様の魂が入っていないからです。
これと同系列と言えるものが土産物店で販売されているものであり、魂を抜く儀式は不要です。不要になったのであれば、リサイクルショップに持ち込んで買い取ってもらいましょう。
買取りができないと言われた場合は、そのまま不用品として処分するのではなく、人形供養をなさっている寺院に持ち込むのが望ましいです。人形には仏様以外にも魂が宿る依り代ともいわれます。特に長い年月自宅に保管していたものだと、家族の思念が宿っている可能性があるので雑な扱いをするのは避けるのが賢明です。
人形供養をなさっている寺院は全国各地に数多くあり、インターネットで「人形・寺院」で検索をすればたくさんヒットします。心当たりがない場合は自宅近くの寺院に尋ねてみましょう。有料で供養をなさってくれるので頼ってみるのも手です。仏像のような魂抜きは不要でも、フィギュアと呼ばれる人形も人の形をしたものなので、丁重に扱うのが理想的です。
以上、仏像を買取りに出す際に必要な魂抜きについてでした。古美術品の仏像は必ず仏様の魂が入っているので、手放す時はその魂を抜く儀式をしなくてはいけません。各地の寺院で依頼することができ、その後は買取りに出しても支障はありません。