舎利とは何か?舎利のみでも買い取ってもらうコツを徹底解説!
旧家の仏壇や歴史ある寺院には、舎利が祀られています。舎利は仏様の遺骨を意味し、付帯する塔や舎利容器なども信仰の対象です。舎利は仏教美術として仏像と同様に売買されています。付帯容器と一緒に取引される舎利ですが、舎利のみの買取は可能なのでしょうか?ここでは舎利と舎利の買取について解説します。
仏像の舎利とは
舎利(しゃり)とは、仏教の開祖である釈迦(シャカ)の遺骨を意味する仏教用語です。釈迦は亡くなると荼毘にふされ、各国へ分骨されました。アジアの仏教は釈迦の遺骨、舎利を崇拝の対象とし、各地で舎利塔、舎利殿、舎利筒が作られます。
とくに古代仏教建築において、舎利塔は欠かせない伽藍(寺院の建物)のひとつでした。古都で見かける仏塔、五重塔、多宝塔などは全て、舎利を納める塔として、次々に建立されたものです。渡来僧・鑑真(がんじん)はペルシャ製のガラス壺に入った舎利を、3千粒ほどもってきたと伝えられます。密教僧空海も中国の仏教寺院より舎利をもち帰り、仏教流布のモチーフに使いました。
とはいえ、舎利が無限にあったわけではないので、次々に作られた筒や容器には水晶、めのうなどの鉱物が代替品として納められたのです。一説によると法隆寺五重塔に納められた舎利は、ダイヤモンドであったともいいます。仏像の体内に舎利を入れて、本尊としたものも多く見つかり、仏教界、古美術界の話題の的です。鉱物の他に経文、僧侶の髪、爪なども入れられ、舎利容器そのものへの信仰も高まりました。舎利容器の中に何も入っていなかったという例もあります。
贅をこらし、荘厳な様式美をもつ舎利容器は仏教制作物として、工芸品として、とても価値の高いものです。舎利は仏教徒にとって最上のお宝なので、お値段以上の価値があり、人の心を惑わせる物質でもありました。天平神護二年(766年)孝謙天皇の寵愛を受けた僧、道鏡は部下の僧より「海龍王寺の毘沙門天像胎内から、舎利が出現した」との報告を受けます。孝謙天皇は舎利の出現は道鏡の徳によるものと解釈し、道鏡を高い地位につけました。
しかしこれは後に道鏡の部下による、偽装、詐欺と判明したのです。舎利のもつ信仰的魅力で、孝謙天皇を欺き、道鏡の出世を狙ったのでしょう。水晶、めのうを使った舎利容器でも真贋の区別は難しく、後年には有名作家の作品を模した贋作も作られました。仏像と同じく、盗難被害に遭った例も報告されています。
初心者でもわかる舎利と舎利付き仏像の魅力
舎利はそれだけでも信仰の対象ですが、舎利+舎利容器+容器をおおう厨子などと一緒に、査定すると評価額が上がるでしょう。壮麗な金細工や精緻な蒔絵が施された舎利容器は、工芸品として高く評価されます。年代が古いほど、高値がつく可能性が高いので、一度鑑定してもらい、特定するのもよいでしょう。
舎利や舎利容器に付帯する文書、添書きなどは保管しておき、一緒に提出します。科学的鑑定を依頼すると、仏像の胎内に舎利が発見されるケースがあるのです。自宅に残された仏像をX線で確認すれば、思わぬ発見があるかもしれません。寺院内に塔を建立する際は、塔の心礎に舎利を入れた容器を埋めます。古い日本家屋でも庭内に小さな塔を建て、自家の守護仏や観音像を祀った家もあるでしょう。これらの仏像を調べてみると、舎利や舎利に替わるものが、入っているかもしれないのです。
先祖の偉業を知るきっかけになるかもしれません。仏塔に保管されていた舎利や舎利容器は、あまり移動せず、手も加えられていない可能性が高いです。経年劣化はあっても、比較的よい状態を維持している可能性が高いといえるでしょう。手放すことを考えるなら、過度な洗浄を控え、現状を維持する努力をしてください。
舎利のみでも高価買取してもらうコツ
舎利容器に入ったものは、ほとんどが水晶、めのうなどの鉱物ですが、江戸時代に舎利容器が多く生産されると、純度の低いものも含まれています。舎利塔の縁起を記した文書などが、残っていない限り、舎利のみの高価買取は難しいでしょう。しかし、近年舎利石をパワーストーンとして、珍重する動きがあります。青森県を産地とする舎利石はめのうの結晶ですが、古くから仏舎利の代替品として、使われていました。
色は茶、赤、黄、青と様々ですが、白い原石は人の歯に似ているようにも見えます。舎利石は自分を護り、願い事が叶うというパワーストーンです。旧家の倉に多量の舎利石が保存されており、鉱物マニアのオークションで取引されていました。舎利のみで高価買取してもらうには、対象をマニアに絞り、石に秘められた価値をアピールしてみましょう。
まとめ
舎利は仏教の開祖、釈迦の遺骨を指します。仏教の隆盛と共に、舎利への信仰も深まり、舎利塔、舎利殿、舎利筒などが作られたのです。舎利容器の中には、水晶、めのうなどの鉱物が舎利の代替品として納められています。代替品の鉱物も、舎利と呼んでいます。仏像の中に、舎利が入っている場合があり、宗教的にも工芸品としても大変価値の高いものです。舎利のみで高価買取してもらうには、縁起を調べ、鉱物マニア向けに買取依頼を出してみましょう。