仏像のお宝収納家具「厨子」とは?厨子のみの買取価格を徹底解説!
ご本尊をお守りする収納具、「厨子」。何らかの事情で、仏像とお別れし、厨子だけが自宅に残されている場合があります。ご本尊のない厨子は無価値と思っている人が多くいますが、厨子のみの買取実績も実際にあるのです。今回は仏像のお宝収納家具「厨子」とは何か、厨子の買取価格について解説します。
仏像コレクター必見!厨子の魅力とは
厨子(ずし)とは仏像や位牌を安置する、収納具です。日本では飛鳥時代頃、中国から伝来したといわれています。収納する物は宗教関連の道具とは限りません。本来厨子は、台所の道具を収納する棚、入れ物、置き場といった意味でした。
食器を収納したり、食品を置いたりして、厨房で使われていたため、厨房の厨の字をとって厨子と呼ばれたようです。やがて台所を飛び出し、居間や客間で身の回りの物を入れる収納家具として定着しました。厨子を家具、インテリアとして活用していくうち、意匠を凝らし、室内装飾品として秀でたものが生まれます。審美性を高めた厨子は、家中でもっとも大切なもの、仏像、仏具、先祖の位牌など、尊ぶべきものを収納する調度品となりました。
そのため、厨子は小さな仏壇ともいわれています。厨子は仏像と共に先祖から受け継ぐものとなり、現在ではコレクターから高い評価を受ける骨董です。伝統工芸品、高級調度品として歴史的に名高い厨子を一部紹介します。
聖徳太子の遺徳を偲ぶ「玉虫厨子」
奈良県の法隆寺に飛鳥時代の厨子が遺され、国宝指定されています。装飾に玉虫の羽を使ったことから「玉虫厨子」と呼ばれ、尊ばれてきました。現在、玉虫の羽は残っていませんが、玉虫色の言葉通り、七色に輝く壮麗な厨子だったのでしょう。聖徳太子が仏師、鞍作止利(くらつくりのとり)に命じて制作し、推古天皇に献上したもの、といわれています。玉虫厨子は、日本でもっとも古い仏具としての厨子です。
正倉院御物「赤漆文欟木厨子」
「赤漆文欟木厨子(せきしつぶんかんぼくのおんずし)」は、東大寺の正倉院で大切に収蔵されていました。天武天皇を始めとして持統、文武、元正、聖武、孝謙と6代の天皇に愛用された厨子と伝えらえます。厨子の中には、宝物、経典など皇族の身の回りの品から、国家文書などが納められていました。古代のオフィスキャビネットといえます。
ツタンカーメン王墓を守る4つの厨子
ツタンカーメンの棺は観音開きになった、4つの厨子の中に納められていました。厨子は入れ子状態で、それぞれ金箔で装飾され、貴重なレリーフが描かれています。もっとも外側のものは長さ5.4メートルの巨大なサイズで、棺を守る厨子の存在感を後世に伝えています。
厨子を手放す前に知っておきたい高価買取のための注意点
先祖から伝わった仏像・仏具でも、ときには手放さなければなりません。厨子の場合、中の仏像だけ盗難に遭ったというケースもあり、ときには単体で買取依頼されます。厨子を買取依頼する際は、裏側、底面などに銘文がないかを確認してください。
製作者や製作年月日、所有者が記されている場合があります。歴史的に貴重な資料となるかもしれません。本尊名が記されているケースもあり、失われた本尊を探索するチャンスです。
買取時にきれいな状態で査定に出したいものですが、厨子はあまり洗浄し過ぎるのは、よくないでしょう。表面の塗りや装飾を損なう可能性があります。査定に出す前は、ほこりを落とす程度にしておきましょう。光沢を出そうと、ゴシゴシと磨くのは厳禁です。
厨子と仏像を別々に買取る場合とセットで買取する場合の違い
厨子と仏像は別々に買取るよりも、セットで買取依頼すると高額査定が期待できます。厨子と仏像を別々に買取依頼すると、厨子単体の値段はかなり落ちてしまうのです。仏像にも若干のマイナスポイントとなるでしょう。厨子の中には、過去帳が保管されているケースがあります。何らかの事情で仏像が紛失している場合は、厨子内を調べると、仏像の存在にアプローチできるかもしれません。
親族、知人に仏像が譲られていたら、厨子と一緒に保管する方法を考えてください。新しく仏壇を購入すると、仏像や位牌を移しますが、その際に古い厨子は必要なくなります。新築で仏間を設けると、ミニ仏壇である厨子は役目を終えるでしょう。厨子は単体でも買取してもらえますが、査定額にあまり期待はできません。仏具を再利用する人は余り多くはないためです。
しかし、厨子のみを買取強化している業者もあります。単体での骨董価値が高いものであれば、ある程度の査定額が見込めるでしょう。厨子を置台、収納家具として、アンティーク価値を見出す人もいます。いずれにしても、箔や塗りを正しく理解し、工芸品の目利きが存在する買取店を選択してください。
まとめ
厨子は身の回りの物を納める収納家具です。仏像、位牌の収納に使われたので、仏具の一種、ミニ仏壇ともいわれています。仏具としての厨子は、意匠をこらし、金箔を使い、彫刻をふんだんに盛り込んだ審美性の高いものとなりました。歴史的には、飛鳥時代の玉虫厨子、奈良時代の赤漆文欟木厨子、ツタンカーメンの棺を守る4つの厨子が知られています。厨子を買取依頼するときは、洗浄し過ぎない点がポイントです。掃除で本体を傷つけないようにしましょう。買取依頼は単体よりも、仏像とセットにした方が査定額に期待できます。